経済の予言者か 2019 3 24
「長期金利は、予言者か」
2019年3月24日の日本経済新聞社の電子版には、このような記事がありました。
通常、貸し借りの期間が長い金利の方が高くなる。
将来の成長に伴う金利上昇が想定されるほか、貸し倒れリスクも高まるためだ。
だが、市場で景気不安が特に強くなると、
将来の利下げを織り込む形で、長期金利が大きく低下し、短期金利を下回ることがある。
これが長短逆転で、期間ごとの金利をつないで描く「イールドカーブ」が、
通常とは逆に「右肩下がり」の形状となるため、「逆イールド」とも呼ばれる。
逆イールドは「不況の予兆」とされる。
アメリカの長期金利の指標である10年物国債利回りは22日、
一時2.41%と約1年3カ月ぶりの水準に低下(債券価格は上昇)した。
この結果、10年物金利は、
2.46%程度で推移していた財務省証券(TB)3カ月物の金利を下回った。
(引用、以上)
私の個人的な感想は、
「FRBは、利上げのペースが速すぎた」ということです。
将来の危機に備えて、
利下げの「のりしろ」を確保したくて焦ったのでしょう。
長期金利は、予言者ではありませんが、
今は、不況の入り口にあるでしょう。
私は、2018年12月29日に、
「世界の景気」というタイトルで書きましたが、
これでは、あいまいタイトルであり、
世界経済の減速は、想像以上に早い以上、
もっとはっきりと「予防的な金融緩和の開始」と書くべきでした。
昨年、アメリカの国債市場では、
一時期、長期金利が3%前後になりましたが、
「ここが天井だろう」と考え、
大量にアメリカ国債を購入した投資家がいるというニュースがありました。
これは、「2019年は、景気が減速する」と予想したのでしょうが、
このような予想が的中すれば、
3%の長期国債は、「プラチナチケット」になります。
もちろん、FRBが利下げという「逆転ホームラン」を打てば、
「長期金利は、予言者ではなかった」となるかもしれません。
ただし、トランプ大統領が気にしている株価は、
FRBが利上げを始める時や上げ始めが上昇すると言われています。
金融緩和の開始 2019 3 9
「世界各国の中央銀行は、金融緩和の開始を検討すべきである」
そうは言っても、金融緩和の余力があるのは、
アメリカのFRBだけかもしれません。
しかしながら、世界の景気をけん引してきた中国経済は、
明らかに「減速」、いや下手をすれば「バブル崩壊」、
そして、中国発の世界恐慌となるかもしれません。
そこへ「米中貿易摩擦」という大きな問題が加わったのですから、
中国経済の規模は、ひたすら縮小も考えられるでしょう。
中国は、右肩上がりの拡大から、
右肩下がりの縮小は避けられないでしょう。
中国経済の「失われた10年」か「失われた20年」の開始となるかもしれません。
一方、欧州へ目を転ずると、
英国がEUから離脱という問題に対して、
英国経済の弱体化が懸念されていますが、
そもそもEU経済の弱体化を懸念すべきでしょう。
すでにEU経済の拡大というマジックが終わっているところへ、
英国の離脱という大きな問題が加わるのです。
こうしてみると、中国経済もEU経済も似たような状況であり、
弱ってきているところに、大きな問題が加わったということでしょう。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」
アメリカは、本気で中国経済を破壊するかもしれません。
中国経済の拡大は、アメリカの覇権の終わりを意味しているからです。
「経済大国は必ず軍事大国になる」という歴史法則があります。
「米中貿易摩擦」は、単なる経済問題ではなく、覇権をめぐる問題です。
世界の覇権をかけた戦いなので、損得勘定は考えないでしょう。
さて、中国経済に依存していたEU経済も「道連れ」になるでしょう。
「米中貿易摩擦」は、結果的に、EU経済の弱体化も招くでしょう。
そういうわけで、2019年は、
金融緩和のスタートの年としなければならないのです。
つまり、世界経済が絶壁から転落しないように金融緩和は必要です。
この期に及んで、「金融緩和は必要ない」と考えている人は、
よっぽど楽天的な人です。
私は、2018年12月29日に、
「世界の景気」という文章を書きましたが、
その時、はっきりと「金融緩和の開始」と言うべきでした。
頭の中では認識しているのに、口では出てこないのは、
私は、優柔不断かもしれません。
もっとはっきりと言うべきだったと後悔しています。
世界経済の減速は、想像以上に早かった。
津波が来る時は、潮が沖へ向けて引いていきますが、
そうならないために、予防的な金融緩和が必要です。